昭和20年代、義雄少年は「肉」に飢えていた。
食糧事情は悪く、牛肉など夢の夢。
でも時には、すき焼きが食卓にのぼった。
鍋で煮えるのは、鯨のコロに赤肉、水菜。とろけるようにうまかった。
学校給食にもしばしば鯨カツが出る。
ある時、図鑑で鯨を調べた。なんて大きいんだろう。
骨も脂も余す所なく役に立ち、1頭の肉で、
やせっぽちの僕ら何百人もの体を育ててくれる。
鯨ってすごい。
31歳で会社を辞めて板前修業し、大阪・肥後橋で妻の実家の食堂を料理屋へ。
看板料理に浮かんだのは、雄大な鯨の姿と懐かしい味。
店はにぎわった。出あいから半世紀以上を経て、ついに鯨と一心同体になった義雄さん。
「ただの人間の時より、なんや男前やな。やっぱり鯨にはかなわんわ」。
捕鯨への風当たりは強い。
「家畜も鯨も命をいただく尊さは同じ。だから一片も無駄にせず最高の味にするのが恩返し」。
撮影が終わっても「離れがたい」と、メークを落とさず店に帰った。
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マスターです♪ |
鯨に変身〜♪ |
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